2004年 06月 07日
民法【総論】 |
【代理】
代理制度=代理人が意思決定をし、これを表示または受領することにより、法律効果が本人に直接帰属する制度
①本人が代理人に代理権を与える
②代理人が相手方との間で代理行為を行う
③その代理行為の効果は本人に帰属する
婚姻・認知・遺言など、本人の意思決定が重要な身分行為については、代理は認められません。
制限能力者でも代理人になることはでき、それを理由に代理行為を取り消すことは出来ませんが、法定代理については、制限能力者でなければなりません。
代理の種類
任意代理権=本人の代理権授権行為によって発生(委任状、請負契約、組合契約など)
法定代理権=本人に対して定の地位にある者が当然に代理人になる場合、または相続財産の管理人のように裁判所により選任された者が代理人になる場合
代理権の範囲
任意代理権…代理権を与えられる際の契約内容によって決まる
法定代理権…民法の定めた規定に基づいて決まる
代理権の範囲が定められていない場合…保存行為・利用行為・改良行為のみ
【無効と取消】
無効と取消の違い
無効=最初から法律上まったく効力がないこと
取消=権限のある者が取消を主張して効力がなくなる(一応有効)
無効(はじめから効力なし)
無効な法律行為とは
・賭博の用に供されることを知ってする金銭消費貸借契約
・窮迫に乗じ過大な利息で金銭を貸し付けること(暴利行為)
・妻を殺してくれたら婚姻するという契約をすること
無効行為の追認はできません。
追認したとしても、もともとその効力がないので、効力は発生しません。
取消(ひとまずは効力がある)
(1)取消権者
①制限能力を理由とする場合
制限能力者本人、その代理人、承継人、同意をなすことができる者
②詐欺または脅迫を理由とする場合
表意者本人、その代理人、承継人
(2)取消の方法
取消の意思表示=取り消すことの出来る行為をした相手方に対して行う
(3)取消の効果
取消とは、その法律行為は最初から無効とみなされるということです。
取消権者が取消の意思表示をするまでは有効であったものが、行為の時に遡って無効となります。
いったん生じた債務は発生しなかったことになり、既に履行されたときは、受領者は不当利益として相手方に返還しなければなりません。
追認
追認できるのは、取消権を有する者です。
追認の方法
取消と同じく相手方に対する意思表示をもってします。
追認の効果
取消権が放棄されると、行為をした時に遡って有効なものとなります。
追認できる時期の制限
取消の原因がなくなった後にしなければ追認の効力は生じません。
法定追認=取消権者が追認できるようになった後に特定の事実があったときは、追認をしたものとみなされる
①全部または一部の履行(取消行為可能な行為を自ら是認してこれを有効なものとして行為するので、追認したものとみなされてもやむを得ない)
②履行の請求
③更改(元の債務を消滅させ、新しく別の債務を発生させる契約)
④担保の供与
⑤取り消すことのできる行為によって取得した権利の全部または一部の譲渡
⑥強制執行(相手の意思に反して強制的に行う行為)
取消権の消滅
追認できるようになった時から5年間で取消権は消滅します。
行為をした時から20年を経過した場合に取消権は消滅します。
【条件・期限、期間】
法律行為の附款(意義と趣旨)
法律行為自由の原則=法律行為は当事者の意思に委ねられる
法律行為の附款=意思表示の中で法律行為の効力の発生・消滅を、将来発生する一定の事実にかからせること
条件=発生するかどうか不確実な事実にかからせる
期限=発生することの確実な事実にかからせる
停止条件と解除条件
停止条件=条件が成就したときに、法律効果が発生する
解除条件=条件が成就すれば、法律効果は成就のときに消滅する
(成就しなければ効力は消滅しない)
※条件成就の効力は、条件が成就する以前には遡らないが、当事者が意思表示したときには、その意思に従う
条件付権利
期待権の不可侵
条件付権利=条件成否未定の間における権利
→条件の成就によって一定の利益を受ける期待権
※期待権は、これを害することはできない
※これに違反すると損害賠償責任を負う
独立した財産権
条件付権利は独立した財産権としての扱いを受ける
※条件の成否が未定の間でも、その権利・義務は、一般の規定に準じて、処分、相続、保存することができる
※条件付権利のために条件付義務に保証人や担保物権をつけてもらうことができる
条件成就の妨害…条件が成就することによって不利益を受ける当事が、故意にその成就を妨げたときには、相手方は条件が成就したものとみなすことができる
条件付法律行為の効力
(1)既成条件=条件の成否が客観的にはもう決まっていた場合
条件が法律行為の当時にすでに成就している場合
停止条件なら法律行為は、無条件
解除条件なら、無効
条件がすでに不成就に確定している場合
停止条件なら、無効
解除条件なら、無条件
(2)不能条件=条件の成就がじつはもともと無理であったという場合
不能条件・解除条件をつけた法律行為は無効です。
(3)不法条件=公序良俗に反する行為
①不法な条件をつけた法律行為(殺人すれば報酬を与える旨の約束)
②不法行為をしないことをもって条件とする法律行為(殺人しなければ報酬を与える旨の約束)
(4)純粋随意条件=停止条件付の法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみにかかるとき(その法律行為は無効)
期限(始期と終期)
期限=法律行為の効力の発生・消滅または債務の履行を将来到来することの確実な事実の発生まで延ばす、法律行為の附款
始期=効力の発生・債務の履行時期
終期=効力の消滅
期限となる事実
確定期限、不確定期限
期限の利益=期限が付されていることによって、当事者が受ける利益で、債務者にあると推定されます。
期限の利益の放棄
期限の利益は放棄することができるが、相手方の利益を害することはできません。例えば、利息付金銭消費貸借において、期限の利益を放棄して期限前に全額弁済するときは、原則として本来の期限までの利息も支払わなければなりません。
期限の利益の喪失
期限の利益を有する債務者に、その信用を失わせるような事実が発生すると、債務者は期限の利益を喪失します。
①債務者が破産の宣告を受けたとき
②債務者が担保を壊したり、減少させたりしたとき
③債務者が担保を提供する義務を負う場合において、これを提供しなかったとき
期間=ある時点からある時点までの継続した時の区分
①時・分・秒を単位とする時間の計算方法=即時に計算
②日・週・月・年など、一日を最小の単位とする時間の計算法
原則として初日は算入しません。
「今から~」というとき、初日の時間(端数)を切り捨て、起算点を翌日(午前0時)とします。後日を指定したとき、初日に端数を生じないので初日を算入します。
期間が日または週で定められた場合は、日に換算して計算し、末日の終了(午後12時)を満了点とします。
国民の祝日、日曜その他の休日にあたり、かつその日に取引をしない慣行があるときは、その翌日が末日となります。
代理制度=代理人が意思決定をし、これを表示または受領することにより、法律効果が本人に直接帰属する制度
①本人が代理人に代理権を与える
②代理人が相手方との間で代理行為を行う
③その代理行為の効果は本人に帰属する
婚姻・認知・遺言など、本人の意思決定が重要な身分行為については、代理は認められません。
制限能力者でも代理人になることはでき、それを理由に代理行為を取り消すことは出来ませんが、法定代理については、制限能力者でなければなりません。
代理の種類
任意代理権=本人の代理権授権行為によって発生(委任状、請負契約、組合契約など)
法定代理権=本人に対して定の地位にある者が当然に代理人になる場合、または相続財産の管理人のように裁判所により選任された者が代理人になる場合
代理権の範囲
任意代理権…代理権を与えられる際の契約内容によって決まる
法定代理権…民法の定めた規定に基づいて決まる
代理権の範囲が定められていない場合…保存行為・利用行為・改良行為のみ
【無効と取消】
無効と取消の違い
無効=最初から法律上まったく効力がないこと
取消=権限のある者が取消を主張して効力がなくなる(一応有効)
無効(はじめから効力なし)
無効な法律行為とは
・賭博の用に供されることを知ってする金銭消費貸借契約
・窮迫に乗じ過大な利息で金銭を貸し付けること(暴利行為)
・妻を殺してくれたら婚姻するという契約をすること
無効行為の追認はできません。
追認したとしても、もともとその効力がないので、効力は発生しません。
取消(ひとまずは効力がある)
(1)取消権者
①制限能力を理由とする場合
制限能力者本人、その代理人、承継人、同意をなすことができる者
②詐欺または脅迫を理由とする場合
表意者本人、その代理人、承継人
(2)取消の方法
取消の意思表示=取り消すことの出来る行為をした相手方に対して行う
(3)取消の効果
取消とは、その法律行為は最初から無効とみなされるということです。
取消権者が取消の意思表示をするまでは有効であったものが、行為の時に遡って無効となります。
いったん生じた債務は発生しなかったことになり、既に履行されたときは、受領者は不当利益として相手方に返還しなければなりません。
追認
追認できるのは、取消権を有する者です。
追認の方法
取消と同じく相手方に対する意思表示をもってします。
追認の効果
取消権が放棄されると、行為をした時に遡って有効なものとなります。
追認できる時期の制限
取消の原因がなくなった後にしなければ追認の効力は生じません。
法定追認=取消権者が追認できるようになった後に特定の事実があったときは、追認をしたものとみなされる
①全部または一部の履行(取消行為可能な行為を自ら是認してこれを有効なものとして行為するので、追認したものとみなされてもやむを得ない)
②履行の請求
③更改(元の債務を消滅させ、新しく別の債務を発生させる契約)
④担保の供与
⑤取り消すことのできる行為によって取得した権利の全部または一部の譲渡
⑥強制執行(相手の意思に反して強制的に行う行為)
取消権の消滅
追認できるようになった時から5年間で取消権は消滅します。
行為をした時から20年を経過した場合に取消権は消滅します。
【条件・期限、期間】
法律行為の附款(意義と趣旨)
法律行為自由の原則=法律行為は当事者の意思に委ねられる
法律行為の附款=意思表示の中で法律行為の効力の発生・消滅を、将来発生する一定の事実にかからせること
条件=発生するかどうか不確実な事実にかからせる
期限=発生することの確実な事実にかからせる
停止条件と解除条件
停止条件=条件が成就したときに、法律効果が発生する
解除条件=条件が成就すれば、法律効果は成就のときに消滅する
(成就しなければ効力は消滅しない)
※条件成就の効力は、条件が成就する以前には遡らないが、当事者が意思表示したときには、その意思に従う
条件付権利
期待権の不可侵
条件付権利=条件成否未定の間における権利
→条件の成就によって一定の利益を受ける期待権
※期待権は、これを害することはできない
※これに違反すると損害賠償責任を負う
独立した財産権
条件付権利は独立した財産権としての扱いを受ける
※条件の成否が未定の間でも、その権利・義務は、一般の規定に準じて、処分、相続、保存することができる
※条件付権利のために条件付義務に保証人や担保物権をつけてもらうことができる
条件成就の妨害…条件が成就することによって不利益を受ける当事が、故意にその成就を妨げたときには、相手方は条件が成就したものとみなすことができる
条件付法律行為の効力
(1)既成条件=条件の成否が客観的にはもう決まっていた場合
条件が法律行為の当時にすでに成就している場合
停止条件なら法律行為は、無条件
解除条件なら、無効
条件がすでに不成就に確定している場合
停止条件なら、無効
解除条件なら、無条件
(2)不能条件=条件の成就がじつはもともと無理であったという場合
不能条件・解除条件をつけた法律行為は無効です。
(3)不法条件=公序良俗に反する行為
①不法な条件をつけた法律行為(殺人すれば報酬を与える旨の約束)
②不法行為をしないことをもって条件とする法律行為(殺人しなければ報酬を与える旨の約束)
(4)純粋随意条件=停止条件付の法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみにかかるとき(その法律行為は無効)
期限(始期と終期)
期限=法律行為の効力の発生・消滅または債務の履行を将来到来することの確実な事実の発生まで延ばす、法律行為の附款
始期=効力の発生・債務の履行時期
終期=効力の消滅
期限となる事実
確定期限、不確定期限
期限の利益=期限が付されていることによって、当事者が受ける利益で、債務者にあると推定されます。
期限の利益の放棄
期限の利益は放棄することができるが、相手方の利益を害することはできません。例えば、利息付金銭消費貸借において、期限の利益を放棄して期限前に全額弁済するときは、原則として本来の期限までの利息も支払わなければなりません。
期限の利益の喪失
期限の利益を有する債務者に、その信用を失わせるような事実が発生すると、債務者は期限の利益を喪失します。
①債務者が破産の宣告を受けたとき
②債務者が担保を壊したり、減少させたりしたとき
③債務者が担保を提供する義務を負う場合において、これを提供しなかったとき
期間=ある時点からある時点までの継続した時の区分
①時・分・秒を単位とする時間の計算方法=即時に計算
②日・週・月・年など、一日を最小の単位とする時間の計算法
原則として初日は算入しません。
「今から~」というとき、初日の時間(端数)を切り捨て、起算点を翌日(午前0時)とします。後日を指定したとき、初日に端数を生じないので初日を算入します。
期間が日または週で定められた場合は、日に換算して計算し、末日の終了(午後12時)を満了点とします。
国民の祝日、日曜その他の休日にあたり、かつその日に取引をしない慣行があるときは、その翌日が末日となります。
by notitia
| 2004-06-07 19:16
| 行政書士受験六法